「寝室の研究を始めてまず考えたのは、寝室にはどんな照明が適しているかということでしたが、それが大きな問題に。というのも、研究を始めた1980年代当時、睡眠に関する知識はおろか、専門書さえほとんどなかったからです」
眠れる、眠れないという問題は、当時はとても個人的な問題として捉えられており、睡眠のメカニズムやその重要性についても日本ではほとんど知られていなかったといいます。
「でも、実際に研究を始めてみると、睡眠が人にとってとても重要であることがわかり、具体的な製品開発にはなかなか至らなかったものの、実験データや知識はどんどん蓄積されていきました」
そして、本来の計画であった空間作りに十分なほどの知識と技術が揃った頃、睡眠時無呼吸症候群による事故や不眠症の人が増えている事実などが報道されるようになり、睡眠に対する重要性が少しずつ認識されるように。
「そこで実用化したのが、『眠り相談ソフト』の開発です。眠りの状態を点数化し、眠りの質を高めてもらおうというものですが、この開発が、快眠コンソーシアムを立ち上げるきっかけとなりました。睡眠の重要性をもっと多くの人に知ってもらうためにも、ビジネスとして市場を広げるためにも、うち1社では不十分。睡眠に関わる多くの企業の方にも参加していただき、いろいろな面からアプローチして、誰もが心地よく眠れる環境や空間を提供していく。それを目的に、2003年、快眠コンソーシアムを立ち上げたのです」
そして、その後間もなく、30年あまり睡眠を研究してきた集大成として、本来の目的であった究極の寝室を『suimin’Room(スイミンルーム)』として製品化しました。
「眠りの状態に合わせて明るさが変わる照明や、最適な温度湿度に保たれるエアコン、エアーストレッチ機能を内蔵したベッドなど、睡眠科学に基づいた上質な睡眠環境を整え、すべてが自動制御される寝室のことです。これを汐留のパナソニック電工ショールーム内に新設しました。有料ですが、眠り相談ソフトによるアドバイスと約30分の仮眠が体験でき、睡眠中のやすらぎ度も特殊な器具を使ってわかるようになっています」
さらに、2004年暮れにはこのシステムをホテルにも導入。
「実際に一晩、快適な眠りが体験できる『快眠ルーム』を、ロイヤルパーク汐留タワーの1室に設置しました。世界初の睡眠専用ルームということで、多くのメディアにも取り上げていただきましたが、現在ではニューオータニ大阪やいくつかの病院にもこのシステムが導入されており、個人宅向けにも販売を始めています。また、眠っている間の状態がわかるシステムもさらにバージョンアップしていますし、睡眠のメカニズムが解明されるにつれ、具体的な製品も増えており、みなさんの健康や眠りをしっかりとサポートできるようになってきています」
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