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眠りについて知ろう

No.9 イビキについて

睡眠中の悩みの中でも多くの人が悩まされているのがイビキ。そこで今回はイビキをかくメカニズムと、対策法についてお話します。

年齢が上がるほどイビキをかく人が増える

 イビキに悩んでいる人はとても多く、全人口の3~4人に1人はイビキをかいているといわれています。その内訳は年齢があがるほど多くなり、女性より男性、痩せている人より太っている人に多く見られ、女性の場合は閉経期以降にイビキをかく人が増えます。また、お酒を飲んだ場合もイビキをかきやすくなります。

 しかし、割合は少なくても子どもから大人まで、どの年代にもイビキは見られます。若い女性では、睡眠中の悩みとしてイビキが第1位(睡眠不足をのぞく)に あげられ、パートナーと夜を過ごすのが怖いなど、精神的ストレスになっている人も少なくありません。また、イビキをかく人の中には「睡眠時無呼吸症候群」など、放ってはおけない危ないイビキの人もいるので、たかがイビキと軽く見るのは間違いです。

こんな人がイビキをかく

・ 太っている人
・ 首が太くて短い人
・ 下あごが小さい人
・ 口蓋垂(のどちんこ)が長い人
・ だんご鼻の人、鼻筋が曲がっている人、鼻腔が細い人
・ 口呼吸をする人
・ 口を開けて寝る人
・ 身体が疲れているとき
・ お酒を飲んだとき

※この他、何かの病気が原因でイビキをかくことも。

イビキは上気道が狭くなることから起こる

 多くのイビキは、上気道(鼻腔から喉、気管支にいたる空気の通り道)が狭くなり、その部分が呼吸によって振動することから起こります。ただし、子どものイビキは、扁桃腺やアデノイド(咽頭扁桃)が原因で起こることが多いようです。

 ではなぜ、上気道が狭くなるかというと、睡眠中は筋肉の緊張が低下し、働きが抑制される時間帯があるためです。 その間は上気道の筋肉も弛緩してゆるむため、気道が狭くなりやすいのです。また、入眠時は深部体温を下げるように身体が働き、鼻腔の血流量も増えるために 鼻腔が狭くなりやすく、空気抵抗が高くなってイビキをかきやすくなります。

 イビキをかいているときは、ぐっすり寝ていると思っている人がいるようですが、イビキをかいている人は、かかない人に比べて10~20%も血液中の酸素量が少なくなっているといわれます。そのため、眠りの質は低下し、十分に眠ったつもりでも寝たりない状態になってしまいます。

 また、中には上気道が完全に閉塞(閉じて)して、その間、呼吸が止まってし まうこともあります。それが睡眠時無呼吸症候群といわれる危険なイビキです。睡眠中に一定の時間(10~20秒、中には1分以上という人も)呼吸ができな くなることが何度も起こる病気です。しっかり眠っているつもりでも酸素不足が続くため、疲れがとれず、日中、強い眠気に襲われて、思わぬ事故を招いてしま うことも。また、この症状を放置しておくと、高血圧や糖尿病といった病気のリスクを高めるともいわれているので、放っておくのは危険です。周囲の人が驚く ほど大きなイビキをかく。突然ピタッとイビキが止まり、しばらく息苦しそうにあえいでいたかと思うと、また突然大きなイビキが始める。また、6時間以上は 眠っているのに、日中居眠りをすることが多い。太り気味でイビキをかくという人は、一度専門医にみてもらったほうがいいでしょう。

イビキ対策

 イビキを解消するには、上気道を狭くしないよう下記のようなことを実践してみましょう。

・肥満を解消する   太っていると上気道の周囲にも脂肪がついて、上気道が狭くなりやすいので、太り気味という人は肥満を解消するようにしましょう。
 
・お酒を飲まない   お酒には筋肉を弛緩させ、血流をよくする働きがあるため、お酒を飲んで寝ると、上 気道の筋肉がいつもよりゆるみ、鼻腔の血流量も増して鼻腔も狭くなり、イビキをかきやすいので、注意。日本人は寝酒をする人が多いようですが、お酒は一時 的なリラックスはできても、飲みすぎるとイビキの原因になるだけでなく、覚醒や利尿作用を促してしまうため、夜間覚醒の原因にもなるので注意して。
 
・身体に合う寝具を使う   枕中央が高い枕は首が曲がって、上気道が狭くなる原因に。また、首の部分が高すぎ てあごが上がってしまうような枕もNG。口が開いたり、舌が喉の奥に下がって上気道を塞いでイビキの原因になることが。イビキがひどい人はあお向けでな く、横向きに寝たほうが重力の影響が少なく上気道が狭くなりにくいのでオススメです。また、枕ばかりでなく、マットレスの硬さにも注意。枕が合っていても マットレスが柔らかすぎると腰が落ち込んでやはり首が前に曲がって上気道が狭くなってしまうことがあります。

 女性の場合、もともと男性より上気道が細く、筋力も弱いために太っていなくてもイビキをかくことがあります。日頃から首の体操をするなどして、筋力が弱まらないようにしましょう。また、蓄膿や扁桃腺肥大などがある人は、きちんと治療することがイビキ予防には大切。日本人の場合は効果が出にくいといわれていますが、鼻テープなどで鼻腔を広げるのも寝入りばなのイビキ予防にはよいかもしれません。

文章:睡眠改善インストラクター 竹内由美
参考図書:『睡眠とメンタルヘルス』(ゆまに書房)監修=上里一郎・編=白川修一郎

日本睡眠学会 Japanise Society Of Sleep Research
JOBS 一般社団法人 日本睡眠改善協議会