No.20 夜更かしにはご用心!
私たちの生体リズムは太陽のリズムに同調している
私たちの体には体内時計が備わっており、24時間よりやや長い周期を刻んでいます。そのため、外界の時間がわからない部屋で何日間か過ごすと、寝 る時間がどんどん後ろにずれるという現象が多くの人に見られるようになります。つまり、人はもともと夜更かししやすい生き物といえます。それで快適に生活 できれば問題はないのですが、それでは社会生活に支障が出ますし、そんな生活を続けていると、生体リズムが乱れ、眠りたいのに眠れない、起きたいのに起き られない、十分寝たつもりなのに疲れがとれないなど、生活にも身体にも不調が現れやすくなります。
自分の自然なリズムで寝起きしていたのに不調が出てしまうなんて不思議なことですが、それは、私たちの生体 リズムが、長い歴史の中で、地球の動き(太陽の光)と同調するようにプログラムされており、同調してはじめて効率よく働くようにできているからです。朝強 い光を浴びることで、生体リズムが1時間程度短くなって地球時間の24時間に調整され、すべての生体現象が効率よく動き始めるというわけです。
ですから、夜遅くまで起きていたり、不規則な生活を続けていると、いろいろなリズムが低下したり乱れてしまい、まるで時差ボケと同じような状態になってしまうのです。
昼夜逆転は身体に大きな負担になる
さらに、地球(太陽)の動きを無視した生活をしていると、昼夜逆転状態になることがあります。こうなると睡眠・覚醒リズムと、体温のリズムや内分泌のリズムの間のズレが大きくなり、体調を崩す原因になってしまいます。
通常、深部体温(内臓の体温)は目覚めの少し前から上がり、午後から夕方に最高となり、夜に向けて下がり始め、夜中にもっとも低くなると いうリズムを刻んでいます。不思議なことに、人は、深部体温が低くなると眠りやすくなり、高くなると眠りにくくなる性質があるため、地球時間に合った生活 をしていれば、朝は自然に目覚め、夜は自然に眠りやすくなります。しかし、昼夜逆転では、体温の変化と睡眠・覚醒リズムがズレてしまい、寝たい時間に体温 が高くて眠りにくい、起きたい時間には体温がまだ低くて起きられないという現象が起きてしまうほか、ホルモン分泌や自律神経にも影響が出ることが。その結 果、眠りの質が低下し、疲れがとれなくなるだけでなく、血圧や代謝などの働きも乱れてしまいます。集中力や意欲まで減退し、活動量も低下するといった悪循 環を生むことになります。
朝起きれないのは低血圧のせいという人がいますが、実は夜更かしや、生体リズムの乱れが原因になっていることが少なくありません。
睡眠時間を確保することも大切ですが、夜更かしを止め、規則正しい生活を送ることも大切です。起床時間、就寝時間が2時間ズレれば、生体時計は乱れてし まうといわれています。私たちが感じている以上に、朝は明るく、夜は暗くという生活をすることは健康を保つ重要なカギに。眠りの質を高めたい。健康を保ち たいという方は、自分の生活を一度見直してみてはいかがでしょうか。
文章:睡眠改善インストラクター 竹内由美