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眠りについて知ろう

No.24 夕方の運動で快眠を得る

適度な運動は健康維持や肥満予防、生活習慣病予防に良いといわれますが、実は熟睡を得るためにも効果があります。そこで今回は、運動の効果と、運動の取り入れ方について紹介します。

運動をすると眠りが深くなる

 私たちの体には、体温のリズムを司る時計や睡眠・覚醒のリズムを司る時計など、いくつもの生体時計が存在し、それぞれが関りあって生命活動を維持 しています。体温(直腸などの内臓の体温=深部体温のことで表皮体温とは異なる)は、朝、目覚める少し前から上がりはじめ、日中は高い状態を維持。夕方に ピークを迎えて、その後は徐々に下がりはじめ、夜中にもっとも低くなるよう変化します。人は、体温が高いと眠りにくく(活動しやすくなる)、低くなると眠 りやすくなるため、こういった変化はとても理にかなったことで、体温のリズムは睡眠・覚醒のリズムをサポートしているともいえます。

 しかし、生活が不規則だったり、冷えなど何らかの原因で血液循環が悪くなると、夜になっても体温がうまく下がらず、寝つきが悪くなることがあります。そんな状態になるのを防いでくれるのが夕方の運動です。

 運動すると、一時的に深部体温は上昇しますが、運動後は、血行がよくなって血液が全身をめぐって冷やされ、深部体温は下がりやすくなるため、寝つきやす くなります。また、運動による適度な疲労感は眠りを深くします。いつも正常に眠れている人にとっては、あまり運動効果を実感できないかもしれませんが、健 康・体力づくり事業財団による「健康づくりに関する意識調査」(1997年)では、運動習慣のない人は、ある人に比べて、中途覚醒を起こす可能性が1.3 倍にのぼると報告されているので、寝つきが悪い、眠りが浅いという人は、週に2~3度でも運動を習慣にしてみてください。

軽く汗ばむ程度の有酸素運動を夕食前に行って

 寝つきを良くするには、夕食前に軽く汗ばむ程度の有酸素運動を行いましょう。午後遅くから夕方の、体温がもっとも高くなる時間帯に、中~高強度 (少し息が上がり、じんわり汗ばむ)の有酸素運動を30分~1時間程度行うと、就寝時間にちょうど深部体温が下がり、眠りやすくなります。ちなみに、冷え 性の人が眠れないのは、末端の血行が悪いために深部に熱がこもって体温が下がりにくいことが原因だといわれているので、冷え性の人にとっても運動はオスス メです。

 運動ができない人は、入浴でも代用できます(シャワーでは不十分)。ぬるめのお風呂にゆったり入れば、気分がリラックスし、血行もアップします。ただし、熱いお風呂は交感神経を刺激してしまうので気をつけて。

注意
1)運動後、体温が下がるまでにはある程度の時間がかかるため、就寝直前や深夜の運動は、睡眠を妨げてしまうので注意しましょう。

2)激しい運動も安眠には逆効果。高体温が長い時間続き、体温が下がりにくくなります。また、交感神経の興奮が収まりにくくなり、体がオフ状態になりにくく、筋肉痛などの不快感が起こることで、眠りにくくなることがあります。

3)安全に運動を行うためには、起きてすぐの激しい運動(起床より3時間)は避けて。朝は虚血性心疾患を招きやすいため(理由は、交感神経の亢進により血 圧が急増することや、睡眠中の発汗により、血液が濃縮して凝固しやすくなっているため)。血圧が高めの人、疲労気味の人、自律神経機能が低下している人、 及び高齢者は、午前中の運動は避けたほうが無難です。

文章:睡眠改善インストラクター 竹内由美

日本睡眠学会 Japanise Society Of Sleep Research
JOBS 一般社団法人 日本睡眠改善協議会