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眠りについて知ろう

No.32 重要な仕事をする人こそしっかり眠ろう!

「成果主義」が評価され、時代を先取りすることが求められる忙しい現代では、睡眠時間を削って働くことが良しとされる風潮があり、睡眠をムダだと思っている人さえいるようです。しかし、睡眠は脳と身体を休める、人にとってはもっとも重要な時間。眠らずに働き続けられるのはロボットだけで、人の場合は睡眠が不足すると、ヒューマンエラーが起きやすくなるうえ、作業効率が低下。経営者にとっても労働者にとっても大きなマイナスになります。

睡眠不足による経済損失は3兆円以上?

睡眠不足は長年、個人の問題といわれてきましたが、一概にそうとはいえない事実がいくつもあがってきています。

そのひとつが不眠症や睡眠不足によって国内で生じるといわれている莫大な経済損失。日本大学医学部教授の内山真先生によると、その額はなんと、年間で3兆4693億円余。それを誰が負担するのかを考えてみれば、経営者にとっても労働者にとっても、そして、日本という国家にとっても人ごととはいえないことは明らかです。

たかが睡眠不足でそんな額になるわけないと思う方もいるかもしれませんが、睡眠不足が続くと眠気が強くなり、疲れがとれない状態となります。その結果、居眠りや不注意による(交通)事故が増えることが予測できますし、作業効率も低下し やすくなるために無駄な人件費や経費が増えます。働く側にとってもムダに時間が過ぎて、深夜まで仕事が終わらず、また翌日も睡眠不足となって疲労やストレ スが蓄積していくことになります。海外企業と契約を結ぶ際には、相手が時差ボケで睡眠不足状態にあることを利用して契約交渉を行ない、有利な条件にもって いくことが営業手法として使われることがあるように、睡眠不足は判断力や決断力交渉力を鈍らせるため、損失が増える可能性があります。また、睡眠不足が続くと、睡眠障害以外の病気になるリスクが高まることもすでに報告されており、医療費もかさむことが考えられます。

睡眠を削って働いてもプラスは少ない

睡眠を削って働いていると、週末は疲れてクタクタ。長期の休みがこない限り、平日は朝から夜遅くまで仕事、週末は睡眠不足を解消するという生活となり、人 生を楽しむ時間が少なくなってしまいます。余程の睡眠不足にならない限り、すぐに命を奪われるようなことはありませんが、睡眠不足が続くと、うつ状態にな りやすいため、毎日がゆううつに感じたり、自分に自信がなくなったり、さらには気持ちに余裕がなくなるため、人間関係もギスギスしがちに……。また、太り やすくなったり、ホルモンの分泌にも悪影響を及ぼすため、ステキに年をとることが難しくなります。

会社のために寝ずに働いているのに、途中で病気になってしまっても、会社は一生面倒をみてくれるわけではありません。たとえ定年を迎えるまで病気をせずに 働けたとしても、睡眠不足の人ほど病気になるリスクが高いため、第二の人生を楽しむ可能性は低くなってしまいます。つまり、ムリして働くだけ働いても、あ まり良いことはないのです。

医者、パイロット、ドライバーなど、ヒューマンエラーをしてしまったら取り返しがつかない責任のある立場にいる人はもちろん、発想力が必要とされるクリエ イティブな仕事に携わっている人、人生をもっと謳歌したい人は、もっと睡眠を大切にすべき。企業の社会的責任や、将来、雇用者が減少することを考えれば、 ロボットのように雇用者を働かせるような体制は早急に見直すべきといえるでしょう。また、働く側にとっても社会人として自己管理は重要な責務。平日の睡眠 が5時間未満(毎日7時間程度は睡眠を確保するのが理想)の人は、病気やヒューマンエラーを起こす前に、生活を見直してみてはいかがでしょう?

文章:睡眠改善インストラクター 竹内由美

日本睡眠学会 Japanise Society Of Sleep Research
JOBS 一般社団法人 日本睡眠改善協議会