No.50 低体温に気をつけて!
朝起きた時の体温が36度未満の人は要注意
私たちの深部体温(内臓の体温)は、起床前から少しずつ上がり、日中は高い状態を保ちます。そして、夕方から徐々に下がり始め、夜中にもっとも低くなると いうリズムを持っています。今までにも何度かご紹介したように、こうした変化は睡眠覚醒リズムにも影響を与え、人は深部体温が下がると眠りやすくなり、高 くなると覚醒しやすくなります。そのため、きちんとしたリズムがある人は、朝スッキリ目覚め、夜はスムーズに眠ることができます。それに比べ、低体温の人 は、朝なかなか起きられなかったり、日中の活動量も低下しがちになります。そんな状態でも、体温が低いのだから夜はぐっすり眠れるはずだから健康には問題 ないのでは…と思いますが、低体温の人は日中の活動量が少ない傾向があるうえ、日中の体温もあまり上がらないことが多いことなどから睡眠覚醒リズムのメリ ハリもなくなりやすく、眠りの質は低下しがちになります(眠れても眠りが浅くなりやすく、十分な時間眠ってもスッキリしない状態になりやすい)。
今まで、朝起きられないのは低血圧のせいだと思っていた方、一度、自分の体温をチェックしてみてください。女性の場合、女性ホルモンの影響で排卵を境に体 温が変動するので、1日だけでなく、1ヵ月前後、定期的に測定してみるのがオススメです。排卵がきちんとあるかどうかもわかりますし、日中と夜の体温も一 緒に測定すれば、体温リズムが正常かどうかもわかります。
私たちは常々、熱があるほうが悪いと思いがちですが、実は低体温も体にはよくないのです。さまざまな研究から、低体温は眠りの質を低下させるだけでなく、 免疫力低下(感染症・ニキビ・湿疹・ヘルペス・インフルエンザなど)、代謝機能低下、排泄機能低下、自律神経失調など、体に悪影響を与えることもわかって いるので、低体温だと思う人は、次の項目を参考に改善を!
ライフスタイルを見直して!
低体温がよくないといわれても、それは体質だから仕方がないのでは…。そう思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに、女性の生理周期のように、避けら れないこともあります。でも、実は、低体温は日頃の生活に原因がある場合が少なくないようです。久保田潤一郎クリニックの久保田潤一郎先生によると、次の ような生活をしている人は低体温になりやすいそうなので気をつけて!
1.食生活の乱れ/加工食品が多い、油分の多い食事など。ミネラル不足による貧血。
2.喫煙・飲酒/タバコは血管を細くして血流を阻害し、飲酒は肝機能を低下させる(肝臓は熱を作る大切な臓器)。
3.不規則な生活/昼夜逆転、睡眠不足(睡眠も体温のリズムに影響を与える)。
4.運動不足/体温は体を動かすことで作られるうえ、運動によって身につく筋肉は熱を作り出す臓器であるため。
5.肥満/脂肪があると体温が高いように思われがちですが、脂肪自体に熱を作り出す力はなく、血管を圧迫し、代謝を悪くする原因になる。
6.エアコン/過度なエアコンは体温調節機能を低下させる原因に。
7.薄着/冷えを起こし、血液循環や代謝を低下させる原因に。
8.生理不順/女性ホルモンは体温リズムに大きく影響するため、リズムが悪いと体温も不安定になりやすい。そのため、更年期以降の人も注意が必要。
熱は、脳、骨格筋、肝臓、腎臓・消火器などで作られます。そのため、運動不足で筋肉が発達していない人、肝臓を酷使している人などは低体温になりやすいの で注意が必要です。また、体温が低くなると、基礎代謝を下げて深部体温を保とうと働くため、ますます血流が悪くなってしまうという悪循環に陥りやすいので 気をつけましょう。
文章:睡眠改善インストラクター 竹内由美