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眠りについて知ろう

No.55 眠らないとどうなる?

仕事に追われる忙しい毎日。一晩くらいならと夜通し仕事を続けてしまう方もいらっしゃることでしょう。でも、私たち人は、いったいどれくらいの時間、起きていられるのでしょうか。そんな疑問に応えるべく、世界には実際に不眠体験をした人がいます。今回はその人たちの記録をご紹介しながら、眠らないことの怖さを再認識していただこうと思います。

不眠の最長記録は11日間

ある記録にはイギリス人女性が19日間眠らなかったという記載もあるようですが、研究者の立会いで公式に残っている不眠記録には、1964年にアメリカ人 少年ランディー・ガードナーさんが達成した、264時間12分が残されています。264時間…つまり11日間も眠らなかったわけですが、世界にはいろいろ な人がいるもので、2007年には、この記録を破るべく、イギリス人男性が不眠記録に挑戦。見事(といってよいのかわかりませんが)、ランディーの記録を 破り、ニュースになりました。しかし、ギネスブックは健康への害が考えられるとして、その記録の掲載を中止しています。

これを聞くと、人は、1日4時間睡眠でも、4~5日くらい徹夜しても平気なんだ、と思ってしまう方もいるかもしれませんが、睡眠は、脳や体の恒常性(疲れ を解消して細胞を修復再生。機能を回復してベストな状態に保つ)を維持するのに不可欠ですから、仕事にも健康にもマイナスになるのはもちろん、命に関わる 可能性もあるといえます。この実験をした男性2人は、幸いにも命に別状はなかったようですが、子犬の実験では6日たらずで死んでしまったという報告もあり ます。命は奪われずとも、不眠は病気のリスクを高めることがわかっていますし、心身にさまざまな悪影響を及ぼすので、けっして何日も徹夜するようなことは されないように!

不眠はヒューマンエラーを引き起こす

ランディー少年については不眠経過が細かく残されていますが、不眠2日目には目の焦点が合わない、視力が低下、テレビを見なくなる、立体感覚の低下といっ た様子が見られたそう。さらに、3~5日目には気分の落ち込みやイライラ、運動機能・体力の低下、早口言葉ができなくなる、協調性・思考力の低下、記憶・ 集中力の低下などが顕著になったようです。そして、この頃から信号が人に見えるなどの幻覚症状が現れ、自分が人に嫌われていると考えるなど、偏執症状も出 てきたそうです。9~11日目にはまとまった話ができない、左右の眼球がバラバラに動く、妄想が強まる、指の震えが起き、言葉が減り、無表情になったそう です。つまり、命に別状はなくとも、人として正常とはいえない状態に!
実は、交通事故の多くは、睡眠不足による眠気や注意欠陥が原因であるといわれていますし、原発などの深刻な事故も、それによって起こったものもあるといわれています。より人らしく、安全で健康な暮らしを送るためには、しっかり眠ることが不可欠なのです。

私たちの体には、体を最適な状態に保つように働く恒常性(ホメオスタシス)が備わっているため、普通は疲れを感じると、脳は「休め」と命令します。しか し、疲れが度を越すと、休めと指令する脳の機能も低下してしまうため、指令がうまく伝わらなくなり、眠いはずなのに眠さを感じない、お腹がすいているはず なのに空腹を感じないといった異常が起ことが。これは過労死のメカニズムと同じで、ムリを続けているうちにそのつらさを感じなくなり、ある日突然死んでし まうということも起こりうるのです。

忙しく頑張ることも必要ですが、人としての尊厳、命の大切さにまさるものはないはず。睡眠不足が続いている人、疲れが溜まっている人は、体力があるから徹夜なんて平気などと思わず、ぜひ眠りを見直してみてください。

文章:睡眠改善インストラクター 竹内由美

日本睡眠学会 Japanise Society Of Sleep Research
JOBS 一般社団法人 日本睡眠改善協議会