No.59 アンチエイジングと睡眠
健康寿命とは?
健康寿命とは、簡単に言うと、肉体的にも精神的にも元気で、自立した(自分のことは自分でできる)生活を送れる年齢のこと。アンチエイジングは、整形など で外見を若返らすということではなく、健康寿命を維持し、自分らしく健康に、バランス良く年を重ねていくことを言います。
日本人の寿命は男性約79歳、女性は約85歳で、世界の中でも稀な長寿国。でも、その実態を見てみると、寝たきりや要介護の人も少なくなく、健康寿命は、 男性約72歳、女性は約77歳となっています。つまり、女性の場合、77歳から85歳の8年間は治療や介護を受けていることになります。
少子高齢化社会を迎える私たちにとって、これは大きな問題。最期の日を迎えるまで元気で過ごしたいと、多くの人が感じているのではないでしょうか。
健康寿命を延ばすには、弱点を作らないこと
では、どうしたら健康寿命を長く維持できるのか、それを研究する学問がアンチエイジングですが、専門家によると、大切なのは、体に“弱点を作らないこと” だと言います。 例えば、歯が悪くなるという弱点ができると、食べ物がおいしく食べられなくなったり、噛む力が衰えるために消化力が落ちます。すると、食事量が減る、食べ るという楽しみがなくなり、元気がなくなる、内臓に負担がかかるなど、身体にも心にも大きなマイナスとなる悪循環が生まれ、老化が進んでしまう原因となり ます。世間ではメタボが騒がれていますが、高血圧、動脈硬化、高脂血症なども健康寿命を縮める一つの原因と言えるでしょう。
年齢が高くなると、何かしらの弱点が出てくるのは仕方がないことですが、大切なのは、ひどくなる前に早めに治療・改善すること。皮膚、骨・歯、心臓・血 管、筋肉、脳・神経(心の状態)、ホルモンの状態など、定期的に身体全体を確かめて、弱点を早いうちに克服することが健康寿命を延ばす秘訣です。
健康寿命は、毎日丁寧に過ごすことで維持される
まだ弱点がないという人も、弱点を克服したという人も、その良い状態を維持するのに欠かせないのが予防です。その方法は至ってシンプル。毎日を丁寧に、大 切に過ごすこと。生活習慣病予防でもよく言われるように、“バランスの良い食事、良質な睡眠、適度な運動”を日常にしていくことが、何より有効な予防法と なります。
バランスの良い食事を取らなければ皮膚も骨も筋肉も育ちません。良質な睡眠をとらなければ、食事から摂った栄養は十分に代謝されず、脳や心身の疲れも回復 しません。また、運動をしなければやはり、骨や筋肉は衰えてしまいます。私たちの身体は、日中はさまざまな活動でダメージを受けます。そのダメージや疲労 を回復して新しい細胞を作り、翌日への気力を生み出すのは睡眠です。
忙しい毎日で、つい生活が乱れてしまいがち。病気になって初めて生活を見直すという方も少なくないようです。でも、生活習慣病という名前がついているよう に、多くの病気は年齢によるものではなく、日常生活の結果、生まれています。動脈硬化などは一度発生すると、元には戻りません。まさに毎日の暮らしがみな さんの身体を作っているのです。
最近、寝不足が続いている人、過激なダイエットをしている人、暴飲暴食をしている人、それがあなたの弱点となってしまう前に、今日から生活を見直してみま せんか。完璧にできなくてもOK。あなたが楽しい、これならできそうと思うことから始めてみてください。寝具を新しい物に替えてみる(楽しい気分で眠るこ とができる)、ウインドウショッピングに出かける(楽しく運動できます)、自分で野菜を育ててみる(身体が動かせて食べるのが楽しくなります)など。ほん の少しのことでも生活は楽しく健康的になります。
文章:睡眠改善インストラクター 竹内由美