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眠りについて知ろう

No.66 睡眠とホルモン

代謝や成長などに関わるホルモン(内分泌)は、体内で作られる化学物質で、その数は50種以上もあると言われています。実は内分泌にもリズムがあり、睡眠覚醒リズムとも関わりがあります。そこで今回はその代表的なホルモンの働きと睡眠との関係をご紹介します。

1.成長ホルモン

成長ホルモンは脳下垂体前葉から分泌されるホルモン。成長作用とタンパク質合成を促進する作用があり、身体の成長や修復、疲労回復に重要な役割を果たして いると考えられています。成長ホルモンは、1日の間、1~3時間ごとに押し出されるように分泌されますが、寝入って間もなく訪れるもっとも深い睡眠時に最 大の分泌が見られます。

2.コルチゾル

副腎皮質から分泌されるコルチゾルは、血糖値の維持に重要な役割を果たしており、肝臓において糖新生を促進するほか、抗炎症、免疫亢進などの作用がありま す。ストレスにさらされると、副腎皮質刺激ホルモンが合成されますが、その影響でコルチゾルも増えるため、コルチゾルはストレスの指標としてストレスホル モンと呼ばれることも。

コルチゾルは、睡眠の初期に最低値を示し、後半に向かって分泌量が増加。朝の起床前後で最大となる概日リズムをもっていますが、入眠間もなくの深い睡眠時に分泌が抑制されるため、睡眠に依存している部分もあると考えられています。

副腎皮質刺激ホルモンもコルチゾルと同じように変化しますが、就床前に起床時刻を予告されると、予定起床時刻の1時間前からその分泌量が急激に増加する傾向が。目覚まし時計がなくても起きられる人は、このホルモンが作用していると考えられます。

3.プロラクチンと黄体形成ホルモン

プロラクチン(黄体刺激ホルモン)は、下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモンのひとつ。他のホルモンとの共同作用により、乳腺の発達を促し、皮膚の粘 液細胞数を増加させます(潤い保持に役立つ)。プロラクチンは成長ホルモンと同じように、睡眠開始直後から分泌が始まり、睡眠の後半に向かって増えます。 翌朝、起床すると急激に低下しますが、睡眠に依存する部分もあり、夜間覚醒すると減り、昼寝をした場合でも分泌量が増えます。

黄体形成ホルモンは、女性では排卵と黄体の形成を促進。男性では男性ホルモンであるテストステロンの分泌を促進します。このホルモンも下垂体前葉から分泌 されますが、第二次性徴期に限り、夜間睡眠中に分泌量が増大。成人すると睡眠中でも覚醒中でも分泌量は変わらなくなります。

4.甲状腺刺激ホルモン

体内のタンパク質合成やエネルギー代謝、酵素消費などに関わる甲状腺ホルモンの分泌を刺激するホルモン。下垂体前葉から分泌されますが、夜間睡眠が始まる 時間帯から増え、入眠直前に最高値となり、睡眠開始と共に低下します。しかし、断眠すると血中濃度は上昇を続け、早朝に最大値を示し低下するというように 変化してしまうことも。つまり、甲状腺刺激ホルモンは概日リズムと睡眠覚醒リズムの両方の影響を受けていると言えます。

5.メラトニン

松果体から分泌されるホルモンで、催眠作用と概日リズムを調整する働きがあります。日中は分泌が抑制され、夜間に増加。通常の入眠時刻の1~2時間前から 増え、最低体温の1時間後くらいに最高値となり、その後減少します。ただ、夜間でも明るい光にさらされると分泌が抑制されると報告されていますが、断眠中 でも夜になると増加し、昼間に眠っても分泌されないことから睡眠依存性はないと考えられています。

文章:睡眠改善インストラクター 竹内由美

日本睡眠学会 Japanise Society Of Sleep Research
JOBS 一般社団法人 日本睡眠改善協議会