No.68 赤ちゃんの眠り
乳幼児の眠りは短い間隔で浅くなる
生まれて間もなくの赤ちゃんは、1日10.5~18時間の睡眠をとりますが、睡眠と覚醒は昼夜の区別がなく、3~4時間の眠りと授乳を繰り返します。生後 1~3ヵ月までは睡眠覚醒リズムなどの概日リズム現象が発現していないため、夜昼かわりなく寝たり起きたりを繰り返します。子どもと言うと、大人より眠り が深く、寝ついたら朝までぐっすり眠るものと思いがちですが、新生児期(生後2ヶ月まで)や乳児期の早期には短い周期で眠りが浅くなり、夜になったからと いってぐっすり眠ってくれるわけでもないのです。そのため、両親はしばしば睡眠不足になりますが、生後3~4ヶ月までには光の昼夜の周期的変化やお母さん との接触の昼夜変化などを手がかりに体内時計の1日のリズムがほぼ現れるようになり、徐々に夜まとまって眠るようになります。最新の研究では、個人差はあ るものの受胎(生後ではなく受胎)後46週で睡眠覚醒の概日リズムが現れてくると言われています。
大人の眠りはまずノンレム睡眠から入り、約90分の周期でノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返しますが、新生児では動睡眠(成人のレム睡眠にあたる)から入る ことも多く、その周期も約40~50分と短く、生後3ヵ月で50~60分周期となります。また、1歳半まではレム睡眠が全体の眠りの50%を占めますが、 2歳になると成人同様20~25%にまで減り、逆にノンレム睡眠の深い睡眠である徐波睡眠は生後3ヵ月で50%にまで増え、乳幼児から思春期前までは総睡 眠の3分の1を占めます。
眠りの状態は違っても1日のリズムを大切に
新生児や乳幼児早期の眠りは大人とは異なりますが、体内時計は1日のリズムを形づくろうとする準備を始めているので、夜中に目が覚めたからといって、部屋 を明るくしたり、賑やかに対応する必要はありませんし、逆に昼寝をしているからといって部屋を暗くする必要もありません。赤ちゃんでも起床時刻と就床時刻 を一定にし、日中は明るく、夜は暗い環境をつくり、1日のリズム(昼夜の区別)をわからせるような生活を心がけることが大切です。
生後3~4ヶ月を過ぎると、昼間の睡眠は減少し、「昼寝」となります。生後8ヶ月頃には午前午後1回ずつ、1歳2ヶ月以降は午後1回となる場合が多く、4~6歳以降は昼寝をしなくなる場合も多くなるので、朝寝坊や何時間も昼寝をさせるような生活は避けること。
日本の乳幼児の夜更かしで睡眠時間も短い
2005年米国睡眠財団の会報によると乳幼児に望ましい睡眠時間は、3~11ヶ月で14~15時間、1~3歳で12~14時間、3~5歳で11~13時間 と報告されていますが、日本の乳幼児の睡眠時間はこれよりも短く、国際的な比較調査でも突出して短く、就寝時刻が遅い傾向があると報告されています。乳幼 児の睡眠時間には個人差があるので、夜あまり眠らないからと深刻になりすぎる必要はありませんが、日本は今の乳幼児の睡眠状態を問題だと思っている親の割 合が少ないことも報告されています。子どもが朝の起床時に不機嫌だったり、起きてからしばらく、眠そうだったり居眠りをしているようなら睡眠が足りないと 言えます。また、夜眠らないのは昼寝のしすぎや日中の活動量に問題がある場合もあるので、ぜひ見直しを。
文章:睡眠改善インストラクター 竹内由美
監修:白川修一郎